IC-756 液晶の横筋修復
IC-756のモノクロ液晶に入る横筋の修復記録 ・初期症状 送信不良と言う事で入手したIC-756の液晶表示に、横筋が2~3本入る事が有る。最大でも5本程度。 電源を入れた直後は横筋が無くても、時間が経過すると、横筋の本数が増える傾向にある。 液晶面を表面から指で強く押すと、横筋の発生する場所が変わる事が有る。 ちなみに、送信不良の方は、大元のリレーの接点不良で、代替品への交換(基板の改造が必要)にて修復できました。 その他、メーターのバックライト用チップLEDの不良などの問題もありましたが、やはり一番の問題は液晶表示の横筋です。
・横筋が発生する原因 液晶の縦方向はゼブラコネクタによる接続で、こちらはまず問題ない。 仮にゼブラコネクタの不具合が有る場合は縦方向に表示が欠ける。 横方向は、ヒートシールコネクタにて液晶と液晶ドライバ基板が接続されている。 横筋が発生する原因は、このヒートシールコネクタが内部の熱等で一部が剥がれ、導通が無くなる事に拠る。 修復した機体はドライバ基板側では無く、液晶本体のガラス面と接続されている部分に部分的な剥離が発生していました。
分解して、通電しただけでは横筋が発生せず、ドライヤーで遠くから温めると横筋が発生します。 したがって、冷えている状態ではヒートシールとガラス面の接触が維持されており、周囲が温まると、ヒートシールが膨張し、 ガラス面から浮き上がって一部の接続が切れる物と推測できます。 ・対策 本来はヒートシールコネクタを新しい物に交換すべきところですが、接触不良個所が一部の為ヒートシールの再圧着加熱での 修復を試してみます。 ヒートシールの圧着加熱は専用の装置が必要ですが、アマチュア的には手持ちの道具で何とかして見る事にします。 一般的に、ヒートシールの圧着加熱温度は120℃プラスマイナス10℃となっています。 そこで、30Wのハンダごてを調光装置を使って温度を下げて使ってみます。
・ハンダごて:大洋電機産業製KX-30 100V30W こいつのこて先をひっくり返して先端の平らな部分で圧着します。 ・シリコンパッド:ダイソーで売っていたシリコーン伸びラップS (耐熱温度180℃) ハンダごてを直接ヒートシールに当てると、傷つけてしまうので、保護の為シリコンのパッドを挟みます。 この伸びラップSは大きさ的に液晶サイズより一回り大きく、間に挟むパッドとして最適でした。
ハンダごてを調光装置で温度を下げ、120℃~130℃の間で安定する様調整します。 温度が安定したら、写真の様に液晶のヒートシール面の上にシリコンパッドを当て、その上からハンダごてで約10秒圧着します。 シリコンパッドに付いている直径2.5mm程の突起が良い目印となるので、中央部分から右側、そして左側と根気よく圧着して行きます。
この時、ハンダごてがずれない様注意してください。ずれると、ヒートシールを痛めてしまいます。 圧着が終わったら、再度通電し動作を確認します。
念のため、遠くからドライヤーを当て、ゆっくりと60℃位まで温めて症状が出ないことが確認出来たら、修復完了です。